年間ベストアルバム2018

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はじめまして。音楽好きとして一目置いている可愛い後輩にこのブログ企画に誘われたものの、半年も放置してしまいました。。

社会人1年生になってからというもの、音楽をじっくり聴く時間がめっきり減ってしまい、こうして音楽的無気力が進んでいくんだろうなと自省する日々です。
それでも年間ベストとしてまとめることで、少しでも新譜に触れるモチベーションになればと願って、2018年ベストアルバムを書いていこうかと。

今年リリースのインディオルタナ界隈のアルバムを並べただけの、いかに守備範囲が狭いかが露呈するランキングです。だってインディオルタナ好きなんだもん。
逆に言うと、どれか1つでも気に入れば確実に全部オススメ出来るので、ピロウズの影響で洋楽を聴き始めた高校生のときの僕のような人に届くといいな。

一応ランク付けはしているけれど、どれも甲乙付けがたくて順不同くらいの気持ち。
必要以上に格好つけないようなヘタウマなものが好きなので、完全に好みだけで決めています。音楽的に優れているかどうかは判断していないので、悪しからず。

1. 髭 「STRAWBERRY ANNIVERSARY」
2018.09.26. Creamy Records 10tracks 39:13

”調子はどうだい?仕事のほうは
元気でさえいてくれればいい”




髭の15周年記念アルバム。「君の世界に花束を」は何の衒いもなく今年のベストトラック。
人にオススメできるのは今作より前作の方なんだけれど、最近の僕の精神面に非常にフィットした雰囲気で、とてもお世話になっております。

浮遊感のあるグルーヴが繊細な2015年の「ねむらない」と、それをファニーな勢いでぶち壊した昨年の「すげーすげー」両者のアルバムの流れを組みつつ、さらにアップデートされた今作。押し付けがましくない幸せが、気持ちのいいグルーヴを生み出しているかのよう。

今年はベック、マイブラ、スネイルメイルなどなど26本のライブに行ったけれど、その中でのベストアクトは横浜の小さなライブハウスで観たこのアルバムのツアー初日だった。
新譜曲のライブ映えっぷりと、小さいライブハウス特有の爆発みたいな勢いの鳴り方が素晴らしく、日本で今一番良いライブをするバンドは誰かと問われたら、間違いなく髭と答える。

2. The Breeders「All Nurve」
2018.03.18. 4AD 11tracks 33:51

"Good morning!
Consider IAlways struggle with the right word
私は常に正しい言葉と格闘しているのよ"




グッドモーニング!ブリーダーズ10年ぶりの新作!
キムディールの双子の妹ケリーをはじめ名盤「Last Splash」のメンバーが再集結、スティーアルビニ大先生プロデュースと、ファン待望の布陣。
相変わらず「全神経」に作用する張り詰めた緊張感と、グッドメロディーのバランスが絶妙で、今年一番再生回数の多かったアルバムなのでこの順位。

インディ、ローファイは初期衝動みたいな感情的なものが前提としてあるジャンルで、小慣れ感が出てしまうと良さが薄れてしまうという罪深いジャンルだと思う。
30年以上のキャリアがありながら、初期衝動を歌い続けられるのは、世界中探してもキムディールしかいないのではないか。

3. Courtney Barnett「Tell Me How You Really Feel」
2018.05.18. MilK! Records 10tracks 37:20

"I'll be what you want oh when you want it
But I'll never be what you need
And the city looks from where I'm standing...
私はあなたの思うままだけれど、決してあなたを必要になることはないよ
この街は私からはとても可愛く見えるわ"




デビュー作「Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit」がグラミー賞最優秀新人賞にノミネートされ、そのプレッシャーから曲作りのスランプに陥ったらしいが、待望の2作目は気負いのないアルバム。
けだるいボーカルとアンバランスに鳴るギターサウンドから漂う、オーストラリア出身ながらのアメリカ大陸感。女性性を売りにするのでもない自然体なところが彼女の魅力なんだと思う。

コートニーとブリーダーズのディール姉妹がお互いの新譜客演し合ったり、マルクマスにはソニックユースのキムゴードン、ピロウズにはnoodlesのyoko、スーパーチャンクにはWaxahatcheeと、この年間ベストの半分以上に好きな女性ソングライターが絡んでいる。ここに挙がった女性全員の歌声低い感じが堪らなく好き。

4. Stephen Malkmus & The Jicks 「Sparkle Hard」
2018.05.18. Matador Records 11tracks 43:49

"Do you think you got the nerve
dosen't take much nerve
勇気があると思っているのかい?
本当は大した勇気がなくても構わないんだ"




グッドメロディー、けだるいボーカル、アンバランスなギター、これに尽きるんじゃないかこの年間ベストは。
電子音やボーカルエフェクトも使われたハイファイなサウンドながら、マルクマスの人間性の温かさがローファイとして出ていて、日常に寄り添う音楽となっている。
ローファイっていうのは録音技術なんかじゃなくって、人間性なんだと思う。

5 . Superchunk「What a Time to Be Alive」
2018.02.26. Merge Records 11tracks 32:22

"To see the rot in no disguise
Oh what a time to be alive
化けの皮の中身は腐っている
なんていい瞬間なんだ"




5年振りの新作は、攻撃力のあるサウンドと突け抜けた歌声がマッチした、結成30年ながらいつまでも変わらない若々しいアルバム。
往年の名盤「Here's Where the Strings Come In」に、匹敵する出来だと思ったんだけど、なんであんまり話題になってない感じなの。

パワーポップってポップであるが故、ともすれば味薄に聴こえてしまうのだけれど、サウンドとメロディーの妙があって聴きごたえ十分。
Superchunkが好きな理由の1つに、ローラバランスの歪んだベースの音が非常に好みってのがある。彼女は聴力障害からライブステージには立たなくなってしまったのだけれど、CDクレジットには普通に名前記載されているし、なにより今作もベースの音が凄まじく良いです。

6. the pillows 「REBROADCAST」
2018.09.19. DELICIOUS LABEL 10tracks 39:21

“アーモンドにシュガーを
ご褒美の拍手を”




思えばピロウズを聴きはじめたのは、2008年のPIED PIPERが出た頃だったので、ファンになって丁度10年になるんだな。。
全盛期の名盤再現ツアー、長編MVとの呼び声の高い映画FLCL公開、サントラという名の再録ベスト「FooL on CooL generation」、そして新譜「REBROADCAST」と、来年の30周年を目前に懐古厨歓喜の年でした。これからもファンでいるからね。

再録ベストの方は間違いないとして、新譜の方もジャリジャリした歪みに軽快なメロの乗った心地よい曲の中で、「ニンゲンドモ」「ぼくのともだち」のひねくれ度合いが引き立つこれまた良いアルバム!「Binary star」の勢いのあるサビの入りで、食べ物の話をし始める脈略のなさ好き。

7. J Mascis 「Elastic Days」
2018.11.09. Sub Pop 12tracks 41:33

"Let’s expect no more than all elastic day
Hold your feelings back for all elastic, all elastic day
この上なくしなやかな日々を想像して
そんな日々のために本音は隠しておいて"




ご存知Dinosaur Jr.の長老Jマスシスのソロプロジェクト。ソロ作は彼の代名詞であるファズギターを封印して、アコースティックによるフォークカントリー路線の音楽性。アコースティックならではの素朴さがメロディーの美しさと声を引き立たせる。この人の魅力はグッドメロディとそれを紡ぐ声なんだよな。

今作はソロ作のなかでもアップテンポでドラムを含めたバンドセットで演奏されている楽曲が多く、ダイナソーファンにも聴きなじみやすいのでは。

8. Cloud Nothings 「Last Building Burning」
2018.10.19. Carpark Records 8tracks 35:39

"I waste my time I wasted time
I wasted time, time, time, time
I wasted time, time, time, time
無駄な時間だった"




プロデューサーがダウナー系やストーナー系の流れを汲む人なので、前作に比べてかなりヘヴィーで勢いのあるサウンドに仕上がっている。エネルギーそのものが音となって出ているかのように畳み掛けるサウンドに載せて、同じフレーズを何度もシャウトしているなかに光るメロディーセンスは健在。

曲時間が短めな彼らのアルバムには1曲だけノイズピットパートのようなものを含んだ曲があるのが通例。今作でこれを担うのが、10分以上ある「Dissolution」となっている。ノイズが続き最終的に爆裂的な盛り上がりが待ち構えているというライブ化け間違いない一曲なので、来年のライブのお楽しみの1つ。

9. Snail Mail 「Lush
2018.09.26. Matador Records 10tracks 38:16

"And I hope the love that you find
Swallows you wholly
Like you said it might
あなたの見つけた愛が
あなたを丸ごと包み込んでくれますように
可能性はあるって言ってたよね"




18歳の期待のシンガーソングライター、リンジージョーダンことスネイルメイルさん、Pitchforkの年間ベスト5位ですか。
シティポップムーブメントの次はオルタナムーブメントが来るって話を何度か耳にしましたが、スネイルメイルやコートニーバーネットがオルタナ界の救世主になるのかもしれませんね。

来日公演では音源のキュートでミニマルな感じを想定してたら、力強いギターロックかまされてにやけた。曲中とMCの表情のギャップが非常に可愛かったです。


以上になります。次点でEels、Parquet Courtsあたりを考えてました。今年も好きなバンドのリリースが多くて、いい年でした。長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。よいお年を!